阪神淡路淡路大震災が起きてから29年が経ちました。
今年は元旦に能登半島地震が起き、大きな被害が発生しました。被災された方々に神様のお守りがありますようにお祈りいたします。
地震のニュースに接し、子どもたちにも地震について関心を寄せる姿がみられます。この機会にご家庭でも防災について話し合ったり、確認したりしてはいかがでしょうか。
以下の文は園長が東日本大震災での経験をもとに、防災についてまとめた文章です。参考にしていただければ幸いです。
「いざという時の子どもを守る防災ワンポイント」
小さな子供のいる家庭では一般的な防災対策だけでは十分に子どもを守ることができません。住居形態・家族構成・自分の体力など、防災はその家庭にあった備えが必要になります。体の守り方、避難方法、持ち出し品、非常備蓄品などをしっかり考えておく必要があります。
[留意点]
家族の普段いる場所を念頭に激しい揺れや水害が起こった場合、命をどう守るか考えましょう。閉じ込められた時・負傷した時などの最悪の場合を思い浮かべながら対応策を考えておくことが重要です。ご主人と離れている場合の連絡、室内の被災状況・近隣の被災状況の確認、避難する時のブレーカーの電源オフなどすべきことは沢山ありますので、行動イメージや避難の段取りを考えておきましょう。
〈地震が起きる前に〉
①子どもの目線になって安全性を確かめましょう。
・大きな家具の固定、開き戸や引き出しをフックで固定しましょう。
・大人にとって低い位置でも、棚の上の物が子供の頭に直撃します。大人にとって小さな家具でも、子供にとって大きな家具になります。
②普段からもしもの時を考える習慣を(神経質にならない程度に)
・今地震が起こったらどうするかを想定して自分が何をできるか考えておきましょう。
・この空間にいれば絶対安全という場所をつくっておきましょう。(各部屋)
〈地震が起きたら〉
①危険な物から離れましょう。(照明器具・窓ガラス)
②火災が発生してもあわてず対応しましょう。
※揺れている間は火のついた鍋やコンロに近づくのは危険、炎は天井に燃え移るまで3~5分かかります。揺れは2分程度でおさまるので、身の安全を優先し、消火はその後
③子供(赤ちゃん)と自分を守る姿勢をとりましょう。
※だんご虫のポーズをとらせる。赤ちゃんの場合は子どもと向かい合わせになり保護者のおなか辺りの子どもの頭を置き、保護者は子どものお尻を抱きかかえるように体を丸めます。遊びのように時々訓練しておくといざという時に赤ちゃんが嫌がることもなくなります。
④揺れがおさまったら避難経路を確保します。
⑤情報を収集して避難を決断しましょう。
・テレビ・ラジオ・スマホで地震の規模、被害状況を確認し避難する必要があれば必要最小限の荷物をもって家から離れます。口コミの情報は誤りもありますので、注意しましょう。
・家から離れる時は、ブレーカーをオフ、戸締りをするのを忘れない。
・避難時にはベビーカーは使わず、赤ちゃんの様子の見えないおんぶより抱っこの方が良い
・避難しない時にはお風呂に水を溜めましょう。(生活用水として使用)
〈各災害における注意点〉
[ 地震 ]
〇避難時に荷物が重くてベビーカーに乗せても良いですが、瓦礫などで通れないこともあることも覚悟しておきましょう。
〇被災地が劣悪な環境の場合は、免疫力の低い赤ちゃんにとっては病気をもらい、危険なこともあるため可能ならば震災疎開を早い段階で考えましょう。
[ 火災 ]
〇初期消火は大切ですが、赤ちゃんがいる家庭では逃げ遅れることのないよう、大声で周囲に火事を知らせながらまずは避難します。
〇火事は火よりも煙が恐ろしいことを忘れないように。有毒ガスはもちろん、赤ちゃんは器官が細いのですすを吸うと器官がつまり窒息します。
〇大人や子どもはハンカチなどで口と鼻を覆い避難しますが、赤ちゃんは覆わず親の洋服の内側に入れるかおくるみなどで全身を軽くくるむようにして避難しましょう。
〇赤ちゃんの周りに燃えやすいものを置かないようにしましょう。
〇燃えた時に毒ガスを発生させないように化学繊維は避けましょう。
[ 水害 ]
〇大雨が降ったら、テレビなどで情報を得て早めの自主避難を心がけましょう。パパが帰ってくるまではなどと待たず、近所の人の助けを借りて、避難します。
〇津波の可能性がある場合、海に近い方はすぐ避難します。
〇逃げ遅れて水位が腰まで達したり流れが速いようなら、無理して避難せず高い所で救援を待ちます。水が入るからとドアを閉めてはいけません。水圧でドアが開かなくなり閉じ込められます。
〇地下室や地下街にいる場合は浸水に注意します。大雨の場合はすぐに地上に出ましょう。
〇濡れたら困るものは上に置きましょう。
〇冠水すると汚水も流れるのでベビーバスなどを用意しておき避難に備えましょう。
〈避難場所について〉
地域の避難場所を確認しておきましょう。避難所は公共の場所を大勢の方が利用します。乳幼児世帯だからとの特別扱いがあるわけではありませんし、大人でも疲労やストレスがたまる環境ですので、小さい子ども連れは肩身の狭い思いをしがちです。自宅の被害が無いようでしたら自宅で、又足が伸ばせる状態を作りながらであれば車中避難の利用価値があります。
避難所以外の場所では救援物資が手に入らないこともあります。また避難所においても子供向けの配給は期待できません。離乳食やミルク、おむつ類も同様です。そのため通常の防災用品の他に乳幼児のための備蓄を心がけましょう。
ー赤ちゃんがいる家庭で被災して困った事―
授乳やオムツ替えの場所がない、泣いたりぐずったりした時に周りに気を遣う、家の片付けをしたくても預ける先がない、毎日沐浴できず湿疹オムツかぶれになった、環境が変わり落ち着かずぐずりやすい、ストレスで母乳が出ず粉ミルクや哺乳瓶の備えをしていなかった。
〈ライフラインが止まったら〉
[ 水道 ]
〇一番困るのがトイレです。どうしても我慢しがちになりますので、簡易トイレなどの用意や、トイレ用の水の確保が必要です。
〇お風呂に水を溜めておく、近隣の学校のプールの水を分けてもらう、雨水利用など
〇飲み水はペットボトルを備蓄(消費期限が過ぎたものは処分せず、生活用水として使用)
〇洗い物はなるべくしないようラップなどを利用する。
〇お風呂に入れなくなりますので、体を拭いたり、流さないシャンプーを利用したりする。
〇水の配給はありますが、長時間並び給水用のタンクが必要です。家族や友人で交代して対応しましょう。
[ 電気 ] 復旧するまでブレーカーはオフにしておきます。
〇固定電話が不通になります。又当然のごとく電化製品は全て使えません。ファンヒーター、エアコンも同様です。(ストーブは使えます)
〇冷蔵庫の冷凍食品は解凍された物から順次食べていきましょう。
〇スーパーのレジも動きませんので、買い物に行く時はメモ・筆記用具・電卓を持っていきましょう。
〇携帯の充電用電池なども用意しておきましょう。
〇マンションのエレベーターが止まる(自家発電を装備している所は大丈夫)
[ ガス ]
〇地震を感知するとガスの元が止まるようになっています。異常がないか確認してから順次復旧になります。プロパンガスは元がはずれていないか確認すればすぐ使えます。
〇復旧まではカセットコンロ・カセットボンベが便利ですが、カセットボンベのガスは意外と早く無くなりますので、無駄なく利用しましょう。
〇バーベキュー・キャンプ用品を使うのも便利です。
[ その他 ]
地域(自治体)との関わりを持ちましょう(町内会・子供会)
人丸学区(防災マップ作り・体験)・情報収集・近隣との助け合い
避難場所・連絡形態の確認・近所の危険な場所の確認
非常時持ち出し品の確認
非常時用の備蓄
〈防災グッズ・非常持ち出しについて〉参考例
[非常持ち出し]
現金(小銭も)、ホイッスル、保険証や免許証のコピー、お薬手帳、めがねなど、充電池
ラジオ、くつ、うわぐつ、充電ライト、着替え
女性用…下着、カップ付きインナー、生理用品、水のいらないシャンプー、防犯ブザー
乳児用…オムツ、おしりふき、ミルク、哺乳瓶、おもちゃ・絵本、母子手帳のコピー
老人用…常備薬、服用中の薬、老眼鏡やいれば、介護用品、大人用オムツ
[備蓄品]…3~7日分を備えておきましょう
飲料水・非常食
ティッシュ・トイレットペーパー、予備の乾電池、ラップ・アルミホイル、ビニール袋
ウェットティッシュ、卓上コンロ・ガスボンベ、割りばし・紙皿・紙コップ、タオル
使い捨てカイロ、簡易トイレ、生活用水タンク、ライター、缶切り、軍手、工具、新聞紙
メモ帳・筆記用具、懐中電灯、雨具、マスク、衣類(防寒着・下着・靴下)など
※備蓄食品はホットケーキミックス、パスタ、お餅(常温保存の物)など常時使うものをちょっと多めにおいて置き、使いながら買って補充し備蓄すると良いです。
災害時は牛乳・ヨーグルトなど日配の物が手に入りにくいです。野菜不足にもなりやすいです。